大切にしていること

注文住宅の場合、お客様の要望を聞きながらその都度設計するため、それぞれ違う家になっていくのですが、どの家にもほぼ共通していることがあります。

当事務所では、心身ともに快適で、次の世代へと長く住み継がれる家づくりのため、下記の点を大切にしています

​1.新建材を使わない

日本で建てられるほぼすべての住宅で、材料の多くに工業製品である新建材が使われています。柱や梁にも使われる集成材のほか、壁の下地となる構造用合板や石膏ボード、壁紙のビニールクロス、床材などの化粧板、断熱材のウレタンやポリスチレンなど、至るところ新建材という家が少なくありません。さらに高気密、高断熱とくれば石油化学系の材料にすっぽり包まれて暮らしているようなものです。

新建材に使われる接着剤、防腐剤、塗料等から発生する「ホルムアルデヒド」や「揮発性有機化合物(VOC)」は健康被害をもたらす可能性があるため、平成15年の改正建築基準法ではシックハウス対策として、すべての新築住宅で24時間の換気実施が義務付けされました。
 

ホームセンターの、ベニヤ・合板売り場に行くとわかる、あの独特の臭いです。 

F☆☆☆☆(Fフォースター)であっても臭いのです(>_<)

​2.地場産材を使って、「結んでほどける」木組みの家

予算や工期の都合で手刻みやプレカットなど違いはありますが、基本的には地元の無垢材を使って、特に木材の接合部分についてはできるだけ金物に頼らない「木組み」の構法で家を立てています。家が建つのと同じ気候風土で育った木は、木材になってからもやはり強さと耐久性に優れています。外国産の木を使う場合と比べると、輸送にかかるエネルギーは格段に少なく、地元の山を守ることにもつながります。


金物はいずれ錆びて木にもダメージを与えますが、木組みであれば無垢の木ならではの伸び縮みにも無理なく対応できます。「結んでほどける」再生可能な造りゆえに、長い目で見た移築や木材の再利用も可能です。新建材の家は、接着剤の効き目がなくなると耐久性も失われ、建主が健在なうちに産業廃棄物の山となる可能性がありますが、こちらは世代から世代へ受け継がれる住まい、最終的には土に還る素材での家づくりをめざしています。


耐震性については、一番大事な骨組みである柱や梁を籠(かご)のように立体的に組むことで揺れを吸収し、倒壊せずにすむことが近年数々の実験で実証されています。限界耐力計算で強度を確かめることも可能ですので、お気軽にご相談ください。

とはいえ、居室ごとに24時間欠かさず換気扇を動かし続けるのは不自然に感じませんか?

当事務所で手がけた新築住宅のほとんどは、使う素材を厳選し、できるだけ自然素材を使いますのでこの法律の例外規定が適用でき、24時間換気設備を設置する必要がありません。

予算的にも、宣伝・広告費に多くを取られたりしない分、一般的なハウスメーカーの建てる家とそれほど変わらない予算で建てることが可能です。

たまたま見つけた某HPには「この法律にも例外規定があるが(中略)現代人がとても住める状態の住まいではないため、事実上、全ての新築住宅にこの法律が適用されます」と書かれていました。つまり、それだけ厳しい規定だということですネ!

床に見えるのは断熱材のフォレストボード。原料は、杉樹皮とバージンパルプ、 トウモロコシから作られた コーンスターチ糊です。この上に空気層をとって、床の杉板を張りました。
 

工事中に出る大量のカンナ屑を断熱材として屋根と床下に入れたところもあります。建主さんからは「今までの家とは暖かさがぜんぜん違う」と言って頂いています。もちろん、何かあった時の床下の点検は容易にできます。

野田市・Y邸の建前。まるで「小さな森」のような造り。このボリュームの材を金物を使わず組み上げているので、「結んでほどける」だけでなく、間違いなく長持ちすることがこの写真だけでも十分伝わると思います!
 

​3.高温乾燥材を使わない

​山から伐り出された木は多量の水を含んでいるため、家づくりに適した状態にするには、まず乾燥させる必要があります。

一番いいのは昔ながらの天然乾燥なのでしょうが、スギの場合で半年〜1年ほど時間がかかる上、自然条件の影響も大きくてコストが合わないため、実際使われているのはほとんどが人工乾燥材です。

人工乾燥にも、100度〜130度の高温で短時間に乾燥させる方法、電子レンジのように高周波を使って乾燥させる方法、低温や中温でゆっくり乾燥させる方法などがありますが、現在の主流は高温乾燥です。

高温乾燥材は、製品化までの時間が短縮されて低コスト、表面割れが起こりにくい、反りや狂いが少なく現場で扱いやすいなどの理由で多く使われています。しかし、高温で木材の細胞が壊れて耐久性が落ち、成分が変質して色つやが悪くなったり、精油成分が溶け出してしまったりと無垢材のよさは失われ、内部割れも起こりやすいなど、数々の問題が指摘されています。多くの場合、どうせ柱や梁は壁で覆われて見えなくなるので、ある程度の強度と耐久性さえ確保できていればよいのでしょうが、木の使い方としては残念な気がします。

当事務所では、高温乾燥材は使わず、それ以外の方法で含水率を減らした材を使っています。耐久性はもちろんのこと、柱や梁も隠さず見せる場合が多いので、無垢材ならではのよさを常に感じてもらえると思います。

工場でいただいてきた高温乾燥材の端材。表面はきれいですが、内部には割れが入っています。

こちらも同じく。内部には大きく割れが入り、乾燥しすぎた感じでつやもありません。

左の写真と同じ材ですが、簡単にぱかーんと割れちゃいました…